2003年12月28日。もう十年以上前の思い出。
私はベネズエラ東部にある「グリ湖」に釣りに来ていました。
釣りの友は日本人の同僚2人とベネズエラ人の友人2人。
年末の休暇を利用して普段住んでいる地域を離れて見聞を広めていたのでした。
グリ湖は世界有数の巨大なダム湖で、水域の面積はなんと東京都の面積の2倍近く、琵琶湖の6.3倍。途方もなく広大な湖です
このダムに住むピーコックバス、現地名パヴォンを釣ろうという目論見。
ボート一艘と漁師さんを一人ガイドとしてお願いして、炎天下に広がる青い湖面に乗り出したのでした。
状況は非常に渋かったのですが、何とか出会えたナイスサイズのパヴォン。
厳しい日光と暑さ、それに加えて魚の反応も少ない。
けれども、ビールを飲みながらのんびりまったりと過ごす南米の湖上は旅としては上出来です。
さて日も傾きつつあり、そろそろ帰ろうということになってボートを走らせていたその時、突然船外機のエンジンがストップ。
ガイドさんの顔を見ると少し表情が暗い。…が、何も言わない。
どうしたの、と聞いてやっと声を出した。
「ガソリンがない…」
なんと、東京都の2倍もあるこの巨大な湖のど真ん中でガス欠!!
夕暮れ間近、しかも出発地点まではまだまだ遠い。なんとまぬけなガイドを雇ったものでしょうか。
とりあえずオールを使って、残りのメンバーは素手で水をかいて人力で岸を目指します。
とにかく暗くなる前にどこかに辿り着かなければならないので、一番近くに見えた無人島に上陸しました。
携帯電話の電波も通じず、遭難決定、かなり危機的な状況。…にもかかわらず、満面の笑みの私たち。
当時の私たちは南米のラテン気質にかなり染まっていて、スーパー・オプティミストだったのです。
毎日想像もつかないようなトラブルが起こりっぱなしのベネズエラでは、まあこんなこともあるかー、くらいな感じです。
むしろキャンプまで出来てラッキーとばかりに楽しみます。
流木で焚火を起こし、釣ったパヴォンを串刺しにして焼く。
塩はないので素焼き、そしてでっかい魚をみんなで手でむしって食べる。この味のなんと旨かったこと!
この無人島の浜辺で眠れない一夜を過ごし、翌朝ガイドと私と同僚の3人がガソリンさがしのチームを組んで、再び手漕ぎで出発しました。
そして非常に幸運なことに、無人島のちかくに道路のある湖岸があり、
非常に幸運なことに、ほとんど人が通らないような僻地のその道路に車がちょうど通りかかり、
さらに幸運なことに、その人が予備ガソリンを持っていて、それを分けてもらって無事帰還できたのでした。
akisiko26歳の思い出…
おしまい