オレゴン・デシューツリバーへの旅(4)

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朝5時に起きて川へ向かい、まだ見たことのない魚に出会う期待でいっぱいになりながらラインを打ち返す。
いつ来てもおかしくないアタリを待つ。釣れない気がしない。
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しかし4日間釣り続けても誰にも釣れない。
魚からのコンタクトは初日の釣り初め、Oに来た1回のアタリ。それから4日目にOにもう一度のストライク。しかしフライラインを介してつながったのはほんの数秒で、魚を手にすることはできなかった。
釣具屋の姉さんも状況はタフだと言っている。昨日釣れたのは一人だけだったとかなんとか。

何とかして釣りたいのはやまやまだけれど、ここまで何も起こらないと逆に清々しい気持ちになってくる。
それに、旅自体は最高に楽しい。
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私のこの日の唯一の収穫は、フラフラと岸際を泳いでいたキングサーモンを手掴みで捕まえたことだった。
産卵後で、もうその命を終えようとしているところだったのだろう。
いや、もう一つ大きな収穫が。
スティールと思しき魚影が足元のカケアガリに見えたのだ。私の気配を察してすぐに深みへと逃げてしまったが、その付き場を山立てしてよく覚えておいた。
何より、魚は必ずそこにいるのだという確信が、釣りの自信へとつながる。
いつどんな瞬間にテイクがあってもおかしくないんだと、自分に言い聞かせて釣りを続けるのだが。
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自分のキャストしたラインが見えなくなるまで釣りをすると、午後7時ごろになっている。今日もくたくたになるまで遊んだ。
それからキャンプ場に戻ると、夕食の準備が待っている。
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手際よく作る男の料理は、簡単でボリュームがあり、アメリカ的に味が濃い目だ。
なんてことはない食材を焼くだけ、混ぜるだけ、かけるだけ。なのに、疲れた身体に染み入る。
旨くないわけがない!

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そして迎えた最終日。午前の4時間がこの旅での最後の釣りになる。
どこがどんな流れになっているか、もうすでに全員が知っているポイントに入る。
俺は上から、じゃあ俺は下流に。最後の期待を込めて川へ散ってゆく4人。
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タイムリミットの10時を迎えて、クルマに戻ってきたみんなの顔は一様に笑顔だった。
悔しいことは悔しいけれど、やるだけやったよ。それでも釣れないってことは、俺にはまだ早い、出直してこいってことなのかな。
また来なくちゃな。でも違う国の違う川にもいってみたいしな。

デシューツ・リバー、キャンプ場、そして我らがキャンパーバン。6日間の旅で、そのどれもに相当な愛着が湧いていた。
帰り支度のパッキングをするキャンプ場には、秋の陽射しがやさしく注いでいた。
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スティールヘッドはフライフィッシャーが憧れる至高の魚。
そしてそれを狙う釣り人はSteelheaderと呼ばれる。スティールヘッドに心を奪われてしまった人たちだ。

なぜスティールヘッドがそこまで釣り人の心を捉えるのか?
その魅力はきっと実際に釣ってみないとわからないだろう。
それを知るのが私の今回の旅の目的だった。
結局のところ、それは知ることができないままに終わってしまった。

でも半分くらいは味わえたかもしれない。いつアタリが来るのかわからないまま川に向き合うその長い時間。まるで祈りのように繰り返すスカジットキャスト。そして北米大陸の広大な風景の中で、一人ぽつんと水中に立ちつづけること。

さて、一つの旅が終わればまた次の旅が始まる。スティールヘッドをこの手に抱く旅はいったいいつ、どこになるだろう。

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Commented by tokyo_nature at 2018-11-12 22:50 x
最高の旅でした!
Commented by akisiko at 2018-11-13 16:23
〉tokyo_nature
この旅を創ってくれてありがとう。
本当に感謝!!
Commented by しまねこ5610 at 2018-11-14 20:03 x
スクロールしながら読み進めると、次の写真がちらりと見えてきて・・・・
そこにはマスの鼻が写っているではないですかっ!!「やったのか!?」

・・・しかしすごいロケーションですねぇ。まったく水を感じさせない山肌に、どうどうと滔々と流れる川。
そしてかの魚。何か圧倒的な空気を感じました。
Commented by akisiko at 2018-11-15 11:49
>しまねこ5610さん
スティール初挑戦の旅は、厳しい結果に終わってしまいました。
でも世界が広がった感じがすごくして、旅の余韻を楽しんでいます。
それにしてもアメリカ大陸、やっぱりデカい!
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by akisiko | 2018-11-10 09:28 | | Comments(4)