宮城県鳴子

d0051707_1835554.gif
山深い曲がりくねった国道を登っていき、林道に入ったところで車泊した。

今朝は早朝から沢に入りフライロッドを振ったが、まだ雪代が残っていて魚は出ない。

そうそうにあきらめて車に戻り、簡単な朝食を済ませた。
朝の陽光を浴びながらギターを練習していると、
車の陰からのぞきこむようにしてひとりのおいちゃんが声をかけてきた。
「あんちゃん、遠くから来たのかい?」



聞けばおいちゃんも車で泊まりながら山菜取りや山歩きを楽しんでいたようだ。
ひとしきりワサビやヤマメのことについてぽつぽつと会話をした。

「あんちゃん、もう温泉にははいったかい?」
どうやらこの近くに秘湯があるらしい。
「おれもそろそろいくところだから、よかったら連れてくぞ」

もちろん。断るわけはない。

カーブのきつい山道をさらに登っていき、林道に乗り入れ、
ちょっととしたスペースに車を停めてからケモノ道を下ること約5分。
あたりにイオウのにおいが立ち込めた。

沢の岩間から忽然と湧き出す黄色い熱泉。
秘湯ユーザーたちによって持ち込まれたビニールシートや土のうで
かなり立派な湯船が作られている。

源泉はかなり熱いもよう。
沢水と源泉を混ぜて注水しているだけだが湯加減はよさそうだ。

おいちゃんと肩を並べて湯に浸かる。
湯船のわきの木々はまだ新芽を出し始めたばかり。

「何年か前に大病をしてなぁ」
昨日作ったという温泉卵を食べながら
これまたおいちゃんにもらった缶ビールをすすっていると、
身の上話をしはじめた。

「長いこと入院して体重は100kgを越すし、薬の副作用は出るし、
仕事は出来ないし、おまけにカミさんには逃げられるしでさんざんだぁ。」

・・・シチュエーションにそぐわぬ暗い話題だこと。

「でもなあ、こうやって山歩きを始めてからだいぶ良くなったんだぁ」
「温泉浸かって極楽なあとは、勝負運もあがるってもんだ。」
???
「家の近くにパチンコ屋が何軒かあってな」
そうか、おいちゃんパチンコやるんだ。

「おとついも8000円いれて10000円でた」
「その2000円で缶ビール買って、山に来たわけよ」
じゃあ、このビールはおいちゃんの勝負運の賜物だ。ありがたや。

長いこと温泉に入ったり出たりを繰り返したあとで
信じられないくらいさっぱりとした気分になって林道に戻った。

「また山で見かけたら声かけてくれな。おれはたぶん忘れてると思うから。」

おいちゃんはパチ屋の近くの家へ向かい、
おれはさらに北へと進路をとった。
[PR]
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by akisiko | 2005-05-08 18:36 | | Comments(0)