心の川へ

車止めから踏み跡をたどり河畔林を降りてゆく。
その川が柳の木立の間に見えたとき、懐かしさとうれしさと期待とが入り混じって何とも言えない気持ちになった。
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WiserTimeさんと予定を合わせて、秋の遠征を組むことにした。
行き先は思い出がたくさん詰まったあの川。実に4年ぶりの再訪。一泊二日の大人の遠足。

期待はあるけど最近の情報はなく、川の状況も攻略法もわからない。
二人ともヘビーニンフとインジケーターのシステムを組み、手探り状態で釣り始める。
そして入渓点近くのポイントで、WiserTimeさんの竿が曲がった。
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なんと、いきなりのゴーマル越え。しかもよく肥えてコンディション抜群。
秋の釣りは苦戦するかと思ったのに、あっけなく期待に応えてくれたこの川。
あぁ、来てよかったなあ、と心から思える。

WiserTimeさんが得意とするヘビーニンフィングは効果を発揮し、氏はそのあとも40クラスを連続して釣る。
なんだ、いったいどうなってるんだ?こんなに釣れていいの?
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一方、私にはなかなか魚からのコンタクトがない。ルースニングのコツをいろいろと教えてもらいながら釣る。
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心配していた天気は、ふたを開ければ釣り日和。曇天の空だけれど、穏やかで静かな秋の一日。
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巨大なプールを観察していると、淵尻に定位する一尾の鱒。時折動いて何かを捕食している様子。
これはチャンス。
回り込んで下流から近づき、見当をつけておいた魚の居場所の上流に小さ目のニンフを打ち込む。魚を驚かせない様にインジケーターは外しておいた。
ニンフが定位場所を通り過ぎるころ、ロッドを立ててみる。竿に重みを感じ、水中にはギラギラと銀色が身をくねらせる。
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手元に納まったのは40cmクラス。思わず顔がほころんだ。
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正午を過ぎるころ、風もなく少しだけ気温が上がった河原に、小さなメイフライが飛び始めた。
そしてそれに呼応するかのように、プールの水面にはライズリングが現れ始める。

ライズをよく見る。ここに一尾、あっちにもう一尾。反転流のバブルラインには何尾かいる。
ニンフのシステムに細めのティペットを継ぎ足して、その先には数日前に仕込んでおいたCDCウイングのソフトハックルを結ぶ。
ライズを待つ。ライズが起きたらその上流に静かに投げる。流す。水面は沈黙。
それをいくつか繰り返してようやくフライを喰った、と思ったらすっぽ抜け。
あまりに緊張して合わせが早すぎる。おまけにそんなことを2度も繰り返して、プールのライズはやんでしまった。

秋の夕刻が足早に近づきはじめる。
ポイント移動して、またもや大きなプールに安定したライズ。上から観察すると、その主は40クラスのように見える。
一日の締めくくりに狙うにはいいサイズかも。
メインの流れが大きな淵の中央でほどける辺りで、右に左に動きながらライズする鱒。
ライズを待ちながらそれを狙う。そして。
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ライズの主は46cm。この一尾でこの日の釣りを切り上げることにする。
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二日目の朝。
前夜に飲みすぎたバーボンで少々思い頭を抱えつつも、日の出とともに朝食を平らげ、川へと向かう二人。
Beyond the Rainbow!
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この日は荒れ模様の天気予報。強風が吹いてときおり雨がバラバラと落ちる。
釣り始めて間もなく私が良型をバラして以降、魚の反応が途絶えた。
いくつかの大きなポイントをまわるけれど、インジケーターは水面を流れるばかりだ。

強風が止んだと思ったら、重い雲が空を覆い始めて雨が本降りになってきた。
今回の釣り旅も、あっという間に終盤に入ったようだ。
もう一本、良いのを釣りたいよね。ふたりでそんなことを言いながら、この釣り旅を締めくくる一尾を探してニンフを投げ続けた。

4年前とはだいぶ変わってしまって浅くなった淵の岩盤際に、ちょうどいい深さと流れのポイントがあった。
流す距離を刻みながらニンフを打ってゆく。
7投、8投、9投…そしてインジケーターがクッと水中に沈んだ。
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夢中になって捕えたその虹鱒は、まさにこの川の精だ。
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濃密な森の、深い谷にあるその川は、圧倒されるほどに力強く流れていた。
これほどまでに深く、荒々しく、豊かであったなんて。この地を離れたからこそ再発見できたのだと思う。

そして川は、今こうしている間にも変わらずに流れているんだ。
心の中にある川の風景を、宝物のように大事にしたい。

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Commented by WiserTime at 2016-10-12 20:41
お疲れ様でした。そして良いポイントを案内頂きありがとうございました。もし自分一人で遠征だったら恐らくほとんど釣れなかったでしょう。熊の気配とカラフトマスの腐った匂いが強烈でしたが逆に本当に自然が濃いことが実感できてある意味なんだか心地よかったです。是非また行きましょう!次はこんなに釣れないでしょうけど(笑)
Commented by akisiko at 2016-10-12 21:02
> WiserTimeさん
どうもー。おつかれさまでした。
年に一度あるかないかの濃密な釣り旅にすることができました。
一人で川を歩くのはちょっとためらう場所ですよね。ご同行ありがとうございました。
次回の釣行を計画しましょう!
そんで、その時は心地よい場所でじっくり飲みましょうね(笑)
Commented by しまねこ5610 at 2016-10-13 11:36 x
かっこよくてきれいなニジマスですねぇ。実にいいヒレしてます。

写真は何カゲロウでしょうか?
ちょっと調べてみましたが、わたしの手持ちの資料では、
ヒメヒラタカゲロウのオス・スピナーの写真がかなり似ています。
ただ、写真や実際に個体によってもけっこう差があるので何とも言えませんが・・・・
前肢が長いのが特徴とのことなので、大外れでもないとは思います。
Commented by akisiko at 2016-10-13 19:54
> しまねこ5610さん
なるほど、ヒメヒラタカゲロウですか。手持ちのフライで対応できちゃったので、種の同定までは気が回りませんでした。
2日目の雨のなかでもカゲロウのハッチが見られて、こちらはやや大きくフライサイズでいうと#12~#10くらい、アブドメンがオレンジ~黄色のようでした。
この時期、風が無ければ第2世代のメイフライのハッチと、それを捕食するライズが見られるようです。
でも、好条件の日と自分の休日がうまく合うかどうかはだんだん難しくなってきます。マッチザホリディですね。
Commented by しまねこ5610 at 2016-10-15 20:52 x
マッチザホリディ。うまいこと言いますねぇ。
ヒメヒラタなんて書きましたが、フライを合わせる釣りはわたしの性に合っていません。
名前を知りたいだけなんですよ。やっぱり#4あたりのセミフライでしょう。
ところで、こちらにいた時は忍野や桂川へマッチさせる釣りには行ってましたか?
あれはあれで楽しいのですが、面倒くさいのも事実です。
でもこんなことを書いていたら面倒な釣りがしたくなりました。残念ながら行けませんが・・・
それでは、晩秋の川を楽しめる特権を満喫してください。
Commented by akisiko at 2016-10-15 21:25
>しまねこ5610さん 
忍野、桂川、行ったことがないんです。関東で行ってみたい場所ですね。
八王子在住中はバス釣り少年でしたので、津久井湖相模湖山中湖っていう感じでした。
フライ遍歴は大学在学中の三陸沿岸、それから就職して群馬県の吾妻川の支流群、そして北海道になります。

マッチザハッチは私も苦手なんです。だいたいコテンパンに無視されます(笑)
このところ穏やかな陽気が続いています。ああ、いまごろライズしているんだろうなぁなんて、気持ちが浮遊してしまいますが、しばらく釣りにはいけないかもしれません。マッチザホリディ、なかなか難しいですよ。
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by akisiko | 2016-10-09 18:15 | | Comments(6)