ベネズエラの危機的状況

私が2003年から2005年まで滞在していた南米の国、ベネズエラ。
食料をはじめとする物資の不足が深刻化し、多くの市民が苦しんでいる。

産油国であり、自然資源も豊か。
なのに、悪政がこの国を滅ぼしてしまうのだろうか。
ベネズエラの経済的危機が報じられて、しばらくたつ。
そして、今まさに国家としての社会的基盤が崩壊しているさなかである、という記事が、インターネット越しに私の目に届いた。

このブログにはネガティブな内容は載せない趣旨なんだけど、わずかな人たちにでもいいからこの状況をお伝えしたいと思い、こんな悲しい世界の一面をお伝えすることにした。
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スーパーマーケットでは、空の陳列棚が当たり前になっている
出典:ベネズエラで起きていること https://venezuelainjapanese.com/


以下は「ベネズエラで起きていること」https://venezuelainjapanese.com/ からの引用です。

パペロン入りのグアバジュース https://venezuelainjapanese.com/2016/06/19/guayabaconpapelon/

ベネズエラでは、深刻な物不足により文字通りの意味で「食べていけなくなっている」人が増えています。定職に就き、子どもを学校にやり、慎ましいながらもちゃんと生活できていた人たちが、飢えの問題に直面しているのです。

今回紹介するのは、ベネズエラのSNSで人気のツイッタラー、ナキ(@Naky))の職場の警備員の話です。ベネズエラの複雑な政治問題や法制度の問題、経済の問題を知らなくても、子どもたちにお腹いっぱい食べさせるために自分は食事を減らし、さらに自分の職場の人に食べ物をねだらなければならない父親の辛さを想像するのは難しくないと思います。6月19日のニューヨークタイムズの記事によると、現在ベネズエラに住む人のうち87%が十分な食料を買うお金がないということです。

”Guayaba con Papelón”
2016年5月26日 Naky Soto
火曜日の朝、警備員がお願いだから何か食べる物を買ってもらえないか、と私に頼んできた。月曜日の朝食以来何も口にしておらず目眩がするという。私は引き返してエンパナーダを2個買った。自分のためにエンパナーダを買うことはもうない。今のエンパナーダの値段はその材料(食用油、トウモロコシ粉、そして今やその具に至るまで)を驚くほどよく反映しているからだ。私は念を押して売っている中で一番甘いジュースを店員に頼んだ。ストローはもう手に入らないので、ストローなしで出てきたコップからはグアバの香りがした。

空腹が恥に勝り、大の男が数個のエンパナーダのために泣いている姿を前にして、さまざまな感情が湧き上がってくる。彼はエンパナーダをひとつ掴むと、もうひとつはまず茶色の紙袋で包み、それをさらにビニール袋に包んだ。食べ始める前に、彼は包みをさすってこう言った。「今晩のために取っておきます。本当にありがとうございます。」そして一口目を口に入れる前に泣き、一口食べた後に泣いた。それでも彼はなんとか話そうとしたので、余計に厄介だった。彼の泣き声は徐々に激しくなり、涙が溢れ、喘ぎ、鼻をすすり、そしてまたエンパナーダを噛んだ。そうして何度もむせた。必ずしも言葉で悲しみが紛れるわけではないが、それでも、私はなんとか彼の気を紛らわそうとした。そして私の甥っ子のことや、仕事のこと、日曜日の渋滞について話した。

少し落ち着くと、彼は、食事のときは子どもたちを優先していること、子ども優先にすることを奥さんと一緒にほとんど直感的に決めたことなどについて話した。だから彼と奥さんは最近かなり食事の量が減っていた。だが、習慣的な不眠症のために体力は落ち、今朝はもしこれで何も食べなければ気絶すると思ったと。それで思い切って、彼は私に声をかけたのだった。必要な食料さえ買えないような労働者が涙を拭くために紙ナプキンを使ったりするはずもなかった。それでも、彼は将来のことを考えていて、学用品を買い続け、ちょうど自分の子たちより一歳ずつ年上の子どもがいるいとこに教科書や洋服を取っておくように話していた。「いとこはお袋よりもきれいに洗濯する」からだそうだ。

彼が自分の子どもたちのことを話すときの優しい口調に私は感動した。彼はそれをこう言ってまとめた。「私たちが子どもを産んだということは、子どもたちを面倒をみて、守ってやるってことでしょう。」子どもの出産について話すときに男の人が複数形で話すのを私は初めて聞いた。私はオフィスに到着すると、この話をこのような事態に対して感じる怒りのすべてを3件のツイートでぶちまけた。自分の発する言葉の重みも考えず、私はニコラスを罵倒するツイートを4度連投した。いくつか説教ツイートを投稿してから、これらのツイートを消し、分別を取り戻し、怒りに任せるのではなく慎重になることにした。私にはわかる。この先今以上に辛い日々がくること。食べ物を買ってあげることよりも話を聞いてあげることが重要だったこと。この先、私たちのお互いに対する見方が変わるだろうこと。 彼は同じ状況を経験している何百万もいる父親のうちの一人だということ。

何かを食べ終えるのが惜しいときに誰もがそうするように、ジュースをゆっくりちびちびと飲みながら、「わぁ、パペロンが入ってるね、これは旨い!」と彼は言った。

ブログ編者注)エンパナーダとはトウモロコシ粉の生地にひき肉やチーズなどの具を包んで揚げたもの。パペロンとは黒砂糖のジュースあるいはシロップ。

ベネズエラ人の物語 https://venezuelainjapanese.com/2016/06/15/yourstory/

私は救急隊員で救急車に乗って働いています。私は患者を病院から病院へ運ばなければなりません。あらゆる病院に行きました。私立の病院も、公立の病院も。公立病院の状況は想像を絶するひどさです。停電のせいで外科医は自分たちの携帯電話の光を使って手術をしなければなりません。最近では、私は妊婦患者を5つの異なる病院に運ばなければなりませんでした。というのも、どの病院でも保育器がないか、すべて故障していたからです。政府は病院に資金を出さないので、ほとんどの病院では、患者に医療用品を持参するよう頼まなければなりません。多くの病院では、職員に対して期限内に給料を払っていません(ドミンゴ・ルシアニ病院で働く友人は給料を3ヶ月遅れで貰っていました)。最近、14歳の子どもが亡くなりました。政府が家族が薬を輸入することを認めなかったせいで(外貨交換が管理されているせいです)家族は鎮痙剤を見つけ出すことができなかったからです。だから、あなたがメディアは買収されているとか偏向していると考えていて、メディアの言うことを信じたくないというなら、私の言うことを信じてください。私はそこで働いていて、現実はメディアが報じるよりはるかにひどいから。
−ホセ




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Commented at 2016-07-27 22:08 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by akisiko at 2016-07-28 07:32
>非公開コメントさん
はじめまして。コメントありがとうございます。

確かにおっしゃる通りです。日本国内でも格差の拡大と貧困層の増加は大きな問題です。
そして、私たちは自分たちの国で起きていることをよく見てよく聞いて、正面から向き合わなければなりません。

日本の政治もまた深刻な病に陥っています。
国民は愚鈍にさせられ、メディアに簡単にコントロールされ、茶番劇に目をそらせている間に、その裏では大事な決定が誰の目にもつかないところで進められていきます。
真実を知る方法を奪われ、考える力をなくした国民による民主主義が、いったいどうやって国をより良い方向に導いてゆくのでしょうか。

当ブログでは「日々の楽しいこと」ばかりを載せていく方針でしたが、今回の投稿によって非公開コメントさんのシビアで真摯なご意見をいただけたことを大変うれしく思います。
また見に来てくださいね。
Commented at 2016-07-28 22:41 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by akisiko at 2016-07-29 21:04
>非公開コメントさん
国際関連のニュースを見ていると、本当に心が不安になるような暗いニュースばかりですね。
イギリスやアメリカの状況も不穏ですし、各国で悲惨なテロや痛ましい事件が多発しています。
犠牲者の多くは、名もない一般市民です。子供たちや女性が理不尽に虐げられているニュースも聞きます。
悲しいことです。
私もこの世界が新しいフェーズに入りつつあるのだと感じています。

そういった報道を目にすると、ポケモンというおもちゃを与えられて喜々としている人たちはまだましなほうだと思ってしまいます。

さて、話は変わるのですが、私も非正規労働者であり、同年代の平均からはかなり低い年収で暮らしています。
北海道の肉体労働者は、東京の人から見たらびっくりするくらいの安い賃金で働いているんですよ。
しかしながら、田舎暮らしということもあり、子供がないということもあって、何とかやっていけているという現状です。
収入が少ない分、出るところも絞って、ささやかな余剰は「人生の楽しいこと」のほうにまわしています。
そして、なるべく「地に足の着いた」暮らしがしたいと日々考えています。

私は農家ではありませんが、ご近所の農家さんたちを見ていると本当に強い暮らしをしていると私も思います。
生産にかかわるあらゆることを、ほぼ自力でこなすスキル。もちろん一朝一夕では身に着きません。
それからコミュニティで解決する能力。これが一番大事。私は人づきあいが苦手なんですけどね(笑)

またのコメントをお待ちしております。

私が南米で体感してきたことの一つは「スーパー楽観主義」です。
どういうことかというと、何が起ころうと明るく笑って過ごすという、人生への向き合い方です。
これで国家の崩壊がどうにかなるということではありませんが、その日の暮らしはけっこう何とかなる、ということを学びました。
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by akisiko | 2016-07-26 21:00 | | Comments(4)