天高く、虹鱒肥ゆる秋、か。

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朝の空気もすっかり冷たくなり、空は澄んで高い。
北海道はもう秋の気配に満ちている。
こうなると夏の名残を惜しんでいる場合ではなくなってしまう。
季節はまっしぐらに寒いほうへ向かっている。
すこしでも暖かいうちに、あれもこれもしたい。

よく晴れそうな8月最後の週末、せかされるように向かったのは今シーズンに入ってから未だ足を運ぶ機会のなかった止水なのであった。

あまりに意気込みすぎて目覚めたのは2時。コーヒーを入れて出発し、山の端の星が薄れて消えるころ現地に着いた。
ほぼ一年ぶりに訪れる湖水は相変わらず藍色とも濃い緑ともいえぬ深い色をしていて、その色を見るだけでほっとした。
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鱒の居場所を探すのには少し苦労したけれど、ほどなくしてロッドは強烈に絞り込まれる。
思わず湖面でひとり、高笑い。

ランニングラインを手繰る手がドンッと止まるリトリーブの釣り。
岸際をライズしながら泳ぎ回る鱒の先に、ドライフライをそっと浮かべて待つ釣り。
両方を堪能することができて、午前の早い時間にフローターをしまうことにする。
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林道で用意してきた昼食を食べて今日ははやく帰宅するつもりだったのだけれど、帰路の途中には気になるポイントが…
すこし様子を見る、なんてことができるはずもなく、第2ラウンド開始となってしまったのだった。

流れの中にごくたまに起こるライズは水面を破裂させるようなスプラッシュ・ライズ。
それはカディスを追っているものなのかもしれなかったが、ティペットの先に結んだのはフォームグラスホッパー。
そしてそのバッタを拙く模した私のフライにも、勢いよく魚が飛び出した。

豊富な餌を食べて魚体は丸々と肥り、鰭は大きくとがっている。まるでミサイルのように、ニジマスは流れの中を突っ走った。

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次のライズに対して投げたフライも、覆いかぶさるように捕食に出てきた魚体とともに水中に没した。
すかさず竿を立てる。竿は大きくしなる。
驚いた鱒はジャンプを2回連続できめて、その太い魚体と鮮やかなレッドバンドを見せつけた。
これは間違いなく今日一番の魚。

手元に余って垂れさがるフライラインをリールに巻き取って、長期戦に備える。
この流れの中で下流に下られたらちょっと手ごわいな、と考える。
10mほど下には枝先が水中に浸かった倒木があって、それを高巻かないと下流には下れない。

しばらく釣り糸に抵抗して強い流れのなかでもじっと動かなかった魚だったが、重い力を持って下流へと走り始めた。
リールはけたたましい音を立ててラインを吐き出す…はずだったのだが、リール内でラインが噛んでスプールの逆転が止まってしまった。
刹那、竿は魚の力に任せるままに倒されて、ティペットがあっけなく切れた。

膝の力が抜けるような失望
一日に一度あるかないかのチャンスをものにできなかった後悔と自責。
張力を失ったラインを手繰る手は少し震えている。

できればこんな思いはしたくないのだが、釣りをしている限り幾度となく味わうものだ。
そしてこんな時もあるからこそ、素晴らしい一尾に出会えた時の喜びは倍増するのだろう。

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Commented by turibaka at 2014-09-03 18:55 x
おひさしぶりッス
いい釣りされてますねー
羨ましい限りです!

夏のアポイ…15日に家族で登りました。
ニアミスしてましたか(笑)

秋が深まってきましたね~
Commented at 2014-09-03 18:56 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2014-09-03 23:55
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by wisertime at 2014-09-04 13:36
こんにちは。良い釣りしてますね。
特に止水楽しそう…
バレてしまったオオモノ残念ですね。リールのロック私も良くありますがティペット太すぎると竿折れるパターンですよね(笑)。
でもこういう悔しさがあるから喜びがより大きくなりますね。
Commented by akisiko at 2014-09-04 16:53
>Turibakaさん
なんと、同じ日にアポイに行っていたんですね!
どこかですれ違って挨拶を交わしていたかもしれませんね。
ほとんど事前知識なしに登ることにしたアポイ岳でしたが、面白い山でした。

非公開コメントの件ですが、やってますよ。
せっかくのアポイのご縁なのでつながりましょう!
非公開コメントでお名前を教えていただけたらこちらで検索します。
もしよろしければよろしくです。
Commented by akisiko at 2014-09-04 17:04
>非公開コメントさん
やっぱり止水に浮かぶのは魚に対してアドバンテージが大きすぎるのでは…
時として釣れ過ぎるっていうか。
でも、静かな湖面に浮かぶっていうのはのんびりするには最高ですよね。
一方、川では一対一のスリリングなやり取りがたまらないですね。
ライズに対峙するときもしかり、フッキングしてからのちもしかり。

しかし書いていて思ってしまったのですが、釣り人ってなんでこうも欲深いのでしょうか…
Commented by akisiko at 2014-09-04 17:28
>Wisertimeさん
止水はまた別の面白さがありますよ。
目の前でライズしたり、すぐ近くを泳いでいったり、魚とより近くなれます。

ところで大物(とはいえ50台でしょうが)をばらしたのは、Wisertimeさんと行ったあそこです。
あのときより水位が高く流れもありました。
やっぱり良型いますね。
ダブハンで広範囲を探るよりシングルでちまちま釣るのが私はあの場所では好きですね。

リベンジに行くと思います。よかったらご一緒に…
Commented by tune at 2014-09-05 19:05 x
毎回とれてたら、釣りなんてとっくにやめてるだろうね~。

読んでたら釣りに行きたくなってきたよ!
Commented at 2014-09-05 20:47 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by akisiko at 2014-09-06 05:57
>Tune兄さん
いつも必ず釣れるのならつまらない。
でも行くからには必ず釣りたい。
なんてわがままなんでしょう!
Commented by akisiko at 2014-09-06 06:12
>非公開コメントさん 
私たちが山頂にいた時にはあまり人がいなかったですね。
6時スタート、8時30分山頂、吉田岳までピストンをして下山したのは10時30分くらいだったかな?
すれ違ったとしたら5合目くらいでしょうか?
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by akisiko | 2014-08-31 20:34 | | Comments(11)